藤井聡太 渡辺明【名人戦 第2局】展望

 4/27(木)から、名人戦 第2局が行われます。第1局のおさらいと、第2局の展望をみてみましょう。第1局で勝った藤井竜王は、このまま勝ち続けるでしょうか。

第1局 先手 渡辺名人のフェイント

 先手の渡辺名人は、角換わり模様から雁木調の力戦へ導くというフェイントをかけました。羽生九段が、竜王戦 7番勝負の後手番で使った作戦と共通する考え方です。

 難解局面で互角の形勢が長く続きます。しかし、2日目の夜戦に入ったところで、藤井竜王がリードを掴み、そのまま勝ちました。

 渡辺名人にとっては、負けたとは言え、2日目の夜まで藤井竜王を悩まし続けたということは、成果があったのではないでしょうか。

藤井竜王が先手の第2局

 両棋士の対戦成績は、公式戦 通算で

藤井竜王:17勝 – 3勝:渡辺名人

 藤井竜王が圧倒していますので、ましてや有利な先手では、藤井竜王が勝つ確率がとても高そうに見えます。
 しかし、渡辺名人が後手で角換わりとなった対局に限ると、

藤井竜王:1勝 – 3勝:渡辺名人

 後手の渡辺名人が何も注文を付けなければ、先手の藤井竜王は、ほぼ角換わりに誘導します。すると渡辺名人の方が沢山勝っている、というのが、これまでの実績です。

 第2局は、このパターンが高そうに思えます。

羽生九段・広瀬八段と、渡辺名人の違い

 直近の、竜王戦・王将戦・棋王戦で、藤井竜王の対戦相手となった3棋士を較べてみます。

 羽生九段と広瀬八段は、

  • 自分の先手番では、きっちり勝てるシナリオを作り、藤井竜王に最善手を指させることでシナリオ通りに局面を進める。
  • 藤井竜王が、シナリオ外しの勝負手を指したところで、確実にリードを奪い、勝ちにつなげる。
    この方法で、羽生九段・広瀬八段ともに2勝をあげる。

 藤井竜王は、棋士の中で、跳び抜けてAI最善手との一致率が高いので、この方法は理にかなっていると思われます。

 一方で、渡辺名人は、

  • 難解局面に誘い、藤井竜王に最善手を指させないことで、藤井竜王が緩手を指してくれるのを待つ。
  • 藤井竜王の緩手のタイミングでリードを奪い、勝ちにつなげる。渡辺名人の3勝は、このパターン。

 最善手一致率がとても高い藤井竜王に、最善手を指させない作戦が成功するのは、渡辺名人と佐藤天彦九段くらいでしょう。
 特に渡辺名人は、藤井竜王が苦労する局面を知っているようです。
 第1局も、2日目夕方まで、藤井竜王の最善手一致率が低いままでした。

 但し、難解局面となると、藤井竜王が緩手を指す前に、自分が緩手を指してしまう確率が高くなります。これで負けたのが第1局、及び大半の対局です。

 何故、渡辺名人の後手角換わりの時だけ、藤井竜王が先に緩手を指してしまうのか、まだ分かりません。
 が、そうなりそうな第2局で、再び謎の解明に挑みたいと思います。

名人戦 七番勝負 2023
渡辺明
名人
藤井聡太
竜王
第1局
4/5(水)
4/6(木)
雁木調の力戦
110手
東京都
ホテル
椿山荘東京
第2局
4/27(木)
4/28(金)
矢倉
87手
静岡市
浮月楼
第3局
5/13(土)
5/14(日)
先手矢倉/後手雁木
87手
大阪府
高槻城公園
芸術文化劇場
第4局
5/21(日)
5/22(月)
雁木
69手
福岡県
飯塚市
麻生大浦荘
第5局
5/31(水)
6/1(木)
先手矢倉/後手雁木
84手
長野県高山村
緑霞山宿
藤井荘
第6局
6/13(火)
14(水)

甲府市
常磐ホテル
第7局
6/27(火)
6/28(水)

山形県
天童市
天童ホテル
先手 後手