【叡王戦4】藤井聡太叡王 初のカド番から脱出できるか?

【叡王戦4】藤井聡太 5/31(金) 9時~速報

5/31(金)に叡王戦 第4局が行われます。

ここまで 1-2 と、23回のタイトル戦で初のカド番となった藤井叡王、負けると初の失冠となり、七冠に後退します。

しかし勝てば 2-2 のタイとなり、23回のタイトル戦で2度目の最終局へと臨みます。

11連敗から2連勝した伊藤七段

伊藤匠七段は藤井叡王と同い年の21歳ですが、プロ入りは4年遅れ、最初は全く歯が立ちませんでした。

伊藤七段がトップ棋士に勝てるようになって、昨年秋に竜王戦の挑戦者になってからも、藤井八冠には全く勝てない状況が続き、11連敗となりました。

伊藤七段が藤井八冠と互角の勝負をするには、あと3年かかると思っていました。

しかし驚いたことに、叡王戦の第2局・第3局と、伊藤七段が2連勝しました。

しかも、驚異の終盤力を持つ藤井叡王を相手に、終盤で競り勝ったのです。この2局は、二人の力が入れ代わったようでした。

二人は、どこかの階段で、一緒に転げ落ちたのでしょうか?

藤井叡王の敗因分析

最近の藤井叡王の発言に「経験の少ない局面で読みの精度が下がっている」とあります。これが正解ならば、伊藤七段は、
 自分が得意 and 藤井叡王が苦手 な局面
にしっかり誘導できているということになります。

しかし藤井叡王が2連敗した2局は、ともに角換わりであり、藤井叡王が最も得意とする戦型です。

ただ、角換わりは多くのバリエーションを持つ幅広い戦型なので、伊藤七段は角換わりの中から、藤井叡王の苦手を見つけ出して、そこにしっかり誘導できた、ということでしょうか。

二人の性格の比較

伊藤七段は、竜王戦で 0-4、棋王戦で 0-3 と、ボコボコにされました。これだけ負けると、多くの棋士は気持ちが落ち込むものです。

しかし伊藤七段は、とても前向きに叡王戦に臨んで来ました。これを見た人々は、伊藤七段には鈍感力がある、と思ったかもしれません。

しかし事実は違うように思います。伊藤七段は、竜王戦・棋王戦の敗戦を、極めて冷静に分析し、ここを直せば勝てる、という自信があったのではないでしょうか。この跳び抜けた冷静さが伊藤七段の特徴のように思います。

一方で藤井叡王は、とことん負けず嫌いです。普段は正統派の手しか指しません。これで8割勝てます。しかし時折劣勢を感じると、ガンガン毒饅頭を投げてきます。インタビューから、タイトルや記録には、あまり興味がないようです。しかし目の前の勝負に負けるのは、絶対に嫌だというタイプのようです。

 とことん負けず嫌いの藤井叡王
 跳び抜けた冷静さの伊藤七段

棋風は二人とも正統派の居飛車党ですが、性格は対照的です。
この二人は、これから20年以上、タイトルを争い続けるでしょう。こんな面白い対決を見られる私たちは、とても良い時代に生まれたのかもしれません。

注釈:正統派の手は何度でも通用する。AIで分析しても、対策が出づらい。
毒饅頭は一度しか通用しない。AIで分析すると、すぐに対策が出る。

伊藤新叡王は?

第4局で先手の伊藤七段は、今風上に立っています。
一気に決めるかもしれません。

伊藤七段が勝つと、3-1 で伊藤新叡王の誕生となります。この時、伊藤新叡王は、藤井七冠についで将棋界 No.2 の序列となります。

対局相手が羽生九段であれ渡辺九段であれ、伊藤新叡王が上座にすわります。伊藤新叡王が駒箱から出した駒山から、王将を掴んで並べ、羽生九段や渡辺九段が、玉将を掴んで並べることになります。

見てみたいですね。でも第5局が終わった後に残しておきたい。

藤井叡王の第4局の作戦

藤井叡王の五番勝負を、先後別に見ると
 先手:9勝1敗1千日手
 後手:1勝4敗2千日手

第4局の藤井叡王は、後手です。となればもう、

1.まず千日手で先手を奪う

千日手の指し直し局は、往々にして先手の圧勝となります。後手の方針が定まる前に、先手が一気に指し進めた時です。そこで、

2.先手・早指し・速攻で一気に得意な形に

いつもの藤井叡王は序盤から時間を使いますが、早指しがポイントです。その為には、伊藤七段の変化も含めて、読まなくても指せるパターンを何種類か準備しなくてはいけません。ここが、これまでの藤井叡王とは、全く異なる指し方です。言い換えれば、これまで相手に何度もやられてきた作戦です。

叡王戦 五番勝負 2024
藤井聡太
叡王
伊藤 匠
七段
第1局
4/7(日)
角換わり腰掛銀
107手 17:58
愛知県
名古屋市
か茂免
第2局
4/20(土)
角換わり△33金
87手 18:20
加賀市
アパホテル
&リゾート
佳水郷
第3局
5/2(木)
角換わり腰掛銀
146手 18:43
名古屋市
名古屋
東急ホテル
第4局
5/31(金)
角換わり腰掛銀
132手 18:02
柏市柏の葉
カンファ
レンス
センター
第5局
6/20(木)
角換わり腰掛銀
156手 18:32
甲府市
常磐
ホテル
先手 後手

とことん負けず嫌いだが、後がない藤井叡王は、これまでとは全く違う戦い方を見せてくれるでしょう。