藤井聡太【叡王戦 第3局】展望

 5/6(土)に叡王戦 第3局が行われます。第2局で敗れて 1-1 となった藤井叡王、第3局はどうなるでしょうか。

先後による勝敗

 藤井叡王から見た、菅井八段との対戦成績は

・通算 6勝4敗
・先手 2勝0敗
・後手 4勝4敗

 藤井叡王の敗戦は全て後手番です。第3局は先手となりますので、勝つ確率は高いと思われます。
 しかし、先手での対局が過去2局しかないので、データ不足の不確実性は否めません。

対抗型の経験値

 菅井八段(31)は、プロ入り後、2023/5/3 時点で 574戦 388勝 186敗です。たまに居飛車を指しますが、大半振り飛車です。対抗型(自分が振り飛車・相手が居飛車)の公式対局を、500局程度経験しているものと思われます。

 藤井叡王(20)は、プロ入り後、2023/5/3 時点で 385戦 321勝 64敗です。居飛車しか指しません。対抗型(自分が居飛車・相手が振り飛車)は、数%しかありませんので、数十局でしょう。

 両棋士の対抗型の経験値は、10倍程度違うことになります。

 その結果、いつもはバシッと最善手を指し、スパッと勝つ藤井叡王ですが、菅井八段が相手の時は、恐る恐る指し、苦労しながら勝つパターンとなります。

とても慎重に勝った第1局

 第3局 同様、先手となった第1局を見てみましょう。
 後手の菅井八段は、三間飛車ながら53銀という珍しい形に組みます。

 50%台の互角ながら、藤井叡王が押し気味の形が作れました。

 午後に入って52手目以降、藤井叡王はリードを確実にするチャンスを何度も掴みますが、なかなか決めきれません。60%を超えると藤井曲線に乗る藤井叡王が、乗れません。
 夕方、80手目で菅井八段の緩手で80%程度となり、そこからやっと藤井叡王らしさが出て勝ちました。

 振り返ってみると、勝率が互角でも、形が押し気味ならば、菅井八段が先に緩手を指してくれて、勝てる展開になったと思われます。

敗れた第2局

 先手の菅井八段は、再び三間飛車ですが、先に7筋から仕掛けるという、これも珍しい形を取ります。

 菅井八段が石田流に組み替える気配を見せた時、それを阻止しようとした藤井叡王が隙を作ってしまい、菅井八段に徐々に押し込まれる形に。

 これが祟って、そのまま押し切られてしまいました。

さて、第3局は?

 第1局 第2局から見ると、中盤、互角の段階で、押せる形を作れるかどうかでしょうか。
 菅井八段は、既存の振り飛車型に、何らかの工夫を加えてくるでしょう。そこをうまく解読して押せる形に持って行ければ、勝ちパターンになるかと思います。

 さて、第3局はどうなるでしょうか。

叡王戦 五番勝負 2023
藤井聡太
叡王
菅井竜也
八段
第1局
4/11(火)
三間飛車
147手
千代田区
江戸総鎮守
神田明神
第2局
4/23(日)
三間飛車
115手
名古屋市
名古屋
東急ホテル
第3局
5/6(土)
三間飛車
163手
名古屋市
か茂免
第4局
5/28(日)
三間飛車
千日手
宮古市
浄土ケ浜
パークホテル
第4局
5/28(日)
三間飛車
千日手
宮古市
浄土ケ浜
パークホテル
第4局
5/28(日)
三間飛車
90手
宮古市
浄土ケ浜
パークホテル
第5局
6/17(土)

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