【初歩から】藤井聡太が挑む 八冠 とは

藤井聡太

 将棋界は、日本将棋連盟(会長 羽生善治)中心に動いています。

 連盟は棋戦(将棋の大会)を主催し、連盟に所属する現役棋士が参加して、タイトル獲得やトーナメント優勝を争います。

 棋戦には、それぞれスポンサーがついて、そのスポンサー料が、現役棋士の収入や連盟運営の原資となります。

 棋戦には、
八大タイトル戦(公式戦)
一般棋戦(公式戦、朝日杯・NHK杯など)
非公式戦(ABEMAトーナメントなど)
 があります。

八大タイトル戦

 最も名誉がある棋戦です。
 王座以外の七冠を保持している藤井七冠は、9月10月の五番勝負で王座を獲得(奪取)すると、同時八冠達成となります。史上初の快挙です。

タイトル

中核
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特徴藤井
七冠
竜王戦七番勝負読売新聞社賞金が最高額
前身含めて
2番目の歴史
名人戦七番勝負毎日新聞社
朝日新聞社
最も歴史が古い
将棋の歴史は
名人の歴史
王位戦七番勝負新聞三社連合
北海道新聞
中日gp
西日本gp
開催地ごとに
主催新聞社が
変わる
4番目の歴史
叡王戦五番勝負不二家異色の
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8番目の歴史
王座戦五番勝負日本経済
新聞社
7番目の歴史
棋王戦五番勝負共同通信社開催地ごとに
地方新聞社が
主催
6番目の歴史
王将戦七番勝負毎日新聞社3番目の歴史
棋聖戦五番勝負産経新聞社5番目の歴史

 この中で叡王戦(えいおうせん)は最も歴史が浅く、タイトル戦に昇格したのは2017年でした。

 それでは、タイトル戦が増えて行った歴史を見てみましょう。

五大タイトル時代 1962年~

 1962年に、名人戦・十段戦(竜王戦の前身)・王将戦・王位戦に加えて、棋聖戦が創設されて、五大タイトル時代に。

 大山康晴十五世名人(1923-1992)が、5回 同時五冠を達成しました。

六大タイトル時代 1975年~

 1975年に、一般棋戦だった棋王戦がタイトル戦に昇格して、六大タイトル時代に。

 中原誠十六世名人(1947-,2009引退)が、同時六冠はなりませんでしたが、順次に六冠制覇しました。

七大タイトル時代 1983年~

 1983年に、一般棋戦だった王座戦がタイトル戦に昇格して、七大タイトル時代に。

 1988年には、十段戦が竜王戦に衣替えして、現在と同じ体制に。竜王戦になるのにあたって、賞金最高額は公表するが、序列は名人と同じ1位とすることになりました。

 羽生善治九段(1970-,現役・2023.6から連盟会長)が、1995年に同時七冠を達成しました。

 羽生九段は、七大タイトル全てで多くの獲得回数を重ねて、2017年に永世七冠の資格を獲得しました。

八大タイトル時代 2017年~

 2017年に、一般棋戦だった叡王戦がタイトル戦に昇格して、八大タイトル時代に。

 藤井聡太七冠が、このまま獲得し続けると、2023年に同時八冠を達成します。

九大タイトル時代は?

 藤井七冠は、8個のタイトル戦だけでも、スケジールが一杯いっぱいなので、恐らく9個目のタイトル戦はできないのではないかと思っております。

永世八冠は?

 各タイトルごとに、永世資格の獲得条件が定められています。

資格獲得条件羽生
九段
藤井七冠の
最速達成時期
永世竜王連続5期 or 通算7期2025.11
永世名人通算5期2027.6
永世王位連続5期 or 通算10期2024.8
永世叡王通算5期2026.5
名誉王座連続5期 or 通算10期2027.9
永世棋王連続5期2027.3
永世王将通算10期2031.2
永世棋聖通算5期2024.6

 羽生九段は、永世叡王以外の7つの永世称号資格を持っています。1995年に同時七冠を達成しただけでなく、永世七冠の資格保持者です。

 この中で、永世王将が通算10期で最も時間がかかるので、藤井七冠が永世八冠を達成するのは、最速で2031年2月となります。

 尚、永世称号は、資格を取っても襲位するのは原則引退後となっています。

 但し、2022年、永世名人資格を持っていた谷川浩司九段が、将棋界への多大な貢献を理由に、現役でありながら還暦を期に永世名人(十七世名人)を襲位しました。羽生九段や藤井七冠など特別な実績をあげた棋士は、この例にならうかもしれません。

 2030年に還暦を迎える羽生九段、この時に十九世名人などの7つの襲位が行われるかもしれません。

(十八世名人資格保持者は森内俊之九段。藤井名人が今年から5連覇すると、二十世名人資格獲得)

 写真は、藤井七冠が王座戦 五番勝負の挑戦権を決めた挑戦者決定戦。

 場所は関西将棋会館、御上段の間。(江戸時代に徳川将軍と将棋名人が将棋を指した、江戸城の上段の間を再現)

 奥(上座)が藤井七冠。
 手前(下座)が豊島九段。

 一番奥の床の間の掛け軸は、向かって右から

・木村義雄十四世名人
 (初代実力制名人、プロ将棋の始まり)
・大山康晴十五世名人
・中原 誠十六世名人
・谷川浩司十七世名人