【王座戦】藤井聡太七冠 豊島将之九段

 王座戦の挑戦者決定戦は、藤井聡太七冠と豊島将之九段の対戦となりました。対局日は未定ですが、7月下旬の実施となるでしょう。

2023 王座戦 挑戦者決定戦 藤井聡太七冠
藤井聡太七冠豊島将之九段
羽生九段藤井七冠渡辺九段豊島九段
斎藤羽生藤井村田石井渡辺斎藤豊島
大橋貴洸七段斎藤明日斗五段久保利明九段羽生善治九段藤井聡太七冠中川大輔八段村田顕弘六段木村一基九段石井健太郎六段高見泰地七段澤田真吾七段渡辺 明九段斎藤慎太郎八段近藤誠也七段本田 奎六段豊島将之九段

 これまで4回のタイトル戦を戦った二人の特徴について考えてみましょう。

読みが合う二人

 二人の対局に特徴的なのは、最善手の応酬が長く続くことです。二人とも角換わりや相掛かりの最新形に精通し、AI中心の将棋研究をやっているので、指し手が似てきたのかもしれません。

 指し手が似ていると、相手が次に何を指すか、読みが当たるので、一度読んだ読み筋を、何度も再確認しながら指し続けられます。結果、読みの精度が上がって、最善手が長く続くのではないでしょうか。

 読みが合わない相手だと、何度も読み直しになってしまい、藤井七冠といえども、最善手率が下がります。渡辺九段や大地七段は、読みが合わない相手のようですが、豊島九段とは読みが合うようです。

二人の相違点

藤井聡太七冠豊島将之九段
とても謙虚、対局相手を立てる
タイトルや賞金には、あまり興味が無い
質の高い将棋を指したい
大抵は筋の良い手を指す
対局で負けるのは絶対に嫌!
窮地に追い詰められたなら
どんな手を使ってでも勝ちたい
X

 表の通り、かなり似ていると思います。

 しかし大きな違いは、負けず嫌いかどうかでしょうか。

 豊島九段は、序盤・中盤で相手が上手く指して、悪い形勢で終盤となった時、「今日は自分が上手く指せなかったのだから、負けるのは仕方がない」と考える人のようです。

 しかし藤井七冠は、例え自分のせいで、悪い形勢で終盤となった時でも、対局で負けるのは絶対に嫌、猫だましでも、八艘飛びでも、何でも使って逆転勝ちしたい、と考える人のようです。

 藤井七冠は、普段は相手をワナにかけるような手は殆ど指しません。そういう手を指さなくても、大抵勝てます。しかしピンチの時は違います。ここが豊島九段との大きな違いでしょうか。インタビューでも、「自分は終盤は、結構何でも指します」と語っていました。

モチベーション

 ただそれでも、豊島九段にとっては、藤井七冠との対局が、将棋を続ける上での強いモチベーションになっているようです。理想とする将棋に、最も近い形になりそうだからでしょうか。

戦型は?

 2020年9月のJT杯、横歩取りで後手の豊島九段が勝ちました。大橋七段が3連勝したのと同じパターンです。

 しかしそれ以降は全て、角換わりか相掛かりです。特にここ1年は、全て角換わりで、藤井七冠の 8-0 です。

 これから考えると、先後を問わず角換わりの可能性が一番高そうです。次に相掛かりでしょうか。

 しかし、豊島九段は、まさかの三間飛車があるのでは、と思っています。この挑決Tの1回戦で指しました。果たして、どうでしょうか。

問題は日程

910111213
王位2
_藤井
_大地
14
王位2
_藤井
_大地
15
161718
棋聖4
_藤井
_大地
19202122
232425
王位3
_藤井
_大地
26
王位3
_藤井
_大地
272829
30318/1
棋聖5?
_藤井
_大地
2345

 9月からの五番勝負の前に、1か月間の準備期間を取るためには、7月末までに挑戦者決定戦を終わらせる必要があります。

 棋聖戦と王位戦を抱える藤井七冠にとっては、どこに入れても中2日の日程になってしまします。

 王座戦 2回戦の後、中2日の棋聖戦 第2局で、藤井棋聖は敗れてしまいました。

 棋聖戦 第4局が終わった後で、第5局が無いことを確認できたなら、王座戦 挑戦者決定戦を7/31(月)に入れれば、中4日で実施できます。しかし、そうなるかどうか分からないものを、待てるでしょうか。