【藤井聡太七冠】八冠に向けて

 将棋界には八大タイトルがあります。このうち七つを手に入れた藤井聡太七冠、残る王座のタイトルを獲得すれば、将棋界初の八冠となります。

王座 挑戦まで

2023 王座戦 挑戦者決定戦 藤井聡太七冠
藤井聡太七冠 豊島将之九段
羽生九段 藤井七冠 渡辺九段 豊島九段
斎藤 羽生 藤井 村田 石井 渡辺 斎藤 豊島
大橋貴洸七段 斎藤明日斗五段 久保利明九段 羽生善治九段 藤井聡太七冠 中川大輔八段 村田顕弘六段 木村一基九段 石井健太郎六段 高見泰地七段 澤田真吾七段 渡辺 明九段 斎藤慎太郎八段 近藤誠也七段 本田 奎六段 豊島将之九段

 藤井七冠は、5/10(水)に王座戦 挑戦者決定トーナメントの1回戦で勝ちました。残る2回戦・準決勝・決勝(挑戦者決定戦)と勝ち抜けば、王座戦の挑戦者となります。

 藤井七冠は勝率が8割を超える抜群の強さです。しかしトーナメントは1回負けたら終わりです。挑戦者になるためには、あと3連勝しなければいけません。特に準決勝では羽生九段、決勝では渡辺九段か豊島九段と当たる可能性があり、そこが大きなヤマ場となるでしょう。


 準決勝は6月下旬~7月上旬辺り、決勝は7月下旬辺りとなりそうです。途中で敗れると、来年5月開幕予定の次期 王座戦 挑戦者決定トーナメントの1回戦から、再び戦うこととなります。

 ここを勝ち抜けると、9月10月に王座戦 五番勝負で永瀬王座に挑戦します。3勝すると王座を奪取して八冠達成となります。

同時期の棋戦

10
王座戦 挑戦者決定
トーナメント
五番勝負
永瀬王座
挑戦者
棋聖戦 五番勝負
藤井棋聖
大地七段
王位戦 七番勝負
藤井王位
大地七段
一般
棋戦
8月頃
NHK杯
藤井七冠
出口六段
9/9(土)
JT杯
藤井七冠
斎藤/菅井

 6月7月には棋聖戦 五番勝負 防衛戦、7月~10月には 王位戦 七番勝負 防衛戦があります。ここでしっかり防衛することが八冠の大前提です。

 挑戦者はいずれも佐々木大地七段、今年、メガネをかけてから絶好調、今とても勢いのある28歳の棋士です。過去の対戦成績は2勝2敗。これまでベテランとの対戦が殆どでしたが、これだけ勢いのある若手とのタイトル戦は、これが初めてでしょう。

 また八大タイトル戦以外に一般棋戦と呼ばれる公式戦があります。若手専用の2棋戦を除いた4棋戦に藤井七冠が登場します。敗れても八冠には影響しませんが、前期は4棋戦すべてで優勝しましたので、今期も優勝の期待が大きいでしょう。八大タイトル戦と一般4棋戦すべて勝つと、将棋界完全制覇です。

 まず8月頃放送見込みの、NHK杯の2回戦で出口若武六段と対戦します。NHK杯は事前収録のテレビ棋戦なので、実際の対局は7月頃かもしれません(非公表)。

 次に9/9(土)のJT杯 2回戦、斎藤慎太郎八段と菅井竜也八段の1回戦勝者と対戦します。
 NHK杯もJT杯もトーナメントで、勝てば次の対局があります。

 他の一般棋戦は、銀河戦と朝日杯があります。銀河戦は11/2(木)に藤井七冠の初戦の放送予定ですが、これも事前収録のテレビ棋戦なので、実際の対局は8月か9月頃かもしれません(放送前に公表)。
 朝日杯は、来年1月開幕の本戦トーナメントから藤井七冠の登場です。

 また、非公式戦ですが、団体戦のABEMAトーナメントがあります。チーム藤井は予選リーグが7月頃放送見込みなので、6月辺りに収録がありそうです。予選を勝ち抜くと、7月8月と本戦トーナメントの収録となりそうです。

王座戦 五番勝負

 日程は、7月下旬辺りの挑戦者決定戦の決着後すぐに発表されるのが恒例です。例年9月から10月にかけて五番勝負が行われます。

達成時期達成年齢
12020/7棋聖渡辺3-1奪取一冠17歳11か月
22020/8王位木村4-0奪取二冠18歳1か月
32021/7棋聖渡辺3-02連覇二冠
42021/8王位豊島4-12連覇二冠
52021/9叡王豊島3-2奪取三冠19歳1か月
62021/11竜王豊島4-0奪取四冠19歳3か月
72022/2王将渡辺4-0奪取五冠19歳6か月
82022/5叡王出口3-02連覇五冠
92022/7棋聖永瀬3-13連覇五冠
102022/9王位豊島4-13連覇五冠
112022/12竜王広瀬4-22連覇五冠
122023/3王将羽生4-22連覇五冠
132023/3棋王渡辺3-1奪取六冠20歳8か月
142023/5叡王菅井3-13連覇六冠
152023/6名人渡辺4-1奪取七冠20歳10か月
藤井七冠は過去15回全て獲得

 藤井七冠は、ここまで15回のタイトル戦すべてで獲得しています。勝率8割超えの藤井七冠相手に、五番勝負なら3勝、七番勝負なら4勝をあげるのは至難の業なのでしょう。

 ただ過去1回だけ、2021/9月決着の叡王戦 五番勝負で、豊島叡王(当時)に、2-2のタイで最終局勝った方が獲得という状況に持って行かれました。対戦相手が、あと1勝まで行ったのは、この1回だけです。

162023/7棋聖大地七冠?
172023/8王位大地七冠?
182023/10王座永瀬奪取?八冠?21歳2か月
藤井八冠までの道のり

 そして、もし王座戦の挑戦者になったなら、18回目のタイトル戦となります。ここで獲得なら、21歳で将棋界初の八冠、逃すと、次のチャンスは早くて1年後です。

 羽生九段は25歳の時に七冠を達成しました。(当時は七大タイトル、2017年に叡王戦が8番目のタイトル戦に昇格)

 藤井七冠は、すんなりと決めるでしょうか。

八冠の先に

 羽生九段は25歳の時に七冠を達成しただけではありません。47歳で永世七冠を達成しています。

竜王連続5期 or 通算7期
名人通算5期
王位連続5期 or 通算10期
叡王通算5期
王座連続5期 or 通算10期
棋王連続5期
王将通算10期
棋聖通算5期

 各タイトル毎に、永世称号資格を獲得するための規定が決まっています。竜王であれば、連続5期か通算7期を達成すると永世竜王の称号資格を獲得します。

 日本将棋連盟の、現役棋士一覧のページで、藤井七冠・永瀬王座のタイトル保持者についで掲載されている5名の方々が、現役棋士のなかで永世称号資格を有する方々です。

 資格を取っても、襲名は原則引退後なのですが、谷川浩司十七世名人は、功績をたたえられ、60歳を機に襲名しました。

 羽生九段は7つの永世称号資格、佐藤康光九段は永世棋聖、森内俊之九段は永世名人(十八世)、渡辺明九段は永世竜王と永世棋王の有資格者です。

 1つ取ればレジェンドですが、7つ取ったのが羽生九段です。

 藤井七冠が八冠達成したら、次は永世八冠が目標になるでしょうか。永世王将が10年かかるので、どんなに早くても29歳となります。しかし、20代で永世八冠達成したら、それは誰も想像しなかったことでしょう。

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 今後の藤井聡太さんの肩書記述ですが、将棋連盟に合わせるなら竜王・名人(史上5人目)となります。しかし、もっとレアな人という意味で七冠((史上2人目)にしようかと。