7/6(土)7(日)と王位戦 第1局が行われました。千日手の後、指し直し局では、渡辺九段が勝勢から19手詰めで勝てる場面で間違えて、藤井聡太王位の逆転勝ちとなりました。
何が起きたのでしょうか。
【王位戦】藤井聡太 第1局 勝って 1-0 !
渡辺九段の作戦が成功した千日手局
7/6(土) | 9:00 | 藤井王位の先手で開始 |
14手 | 後手の渡辺九段が 左美濃調の力戦を仕掛ける | |
12:30 | 24手 | 牽制の応酬で昼食休憩へ |
18:01 | 44手 | 牽制しあったまま封じ手へ |
7/7(日) | 9:00 | 45手目封じ手は▲29飛 |
51手 | 雁木に組み換えるも 膠着打開できない藤井王位 | |
12:30 | 58手 | 渡辺九段から2筋攻めの誘い カウンター狙いの作戦 40分以上考えた藤井王位は 指さずに昼食休憩へ |
13:30 | 59手 | 昼食休憩明け、 藤井王位は攻めずに▲46歩、 警戒しすぎて 膠着打開のチャンスを逃す 局後インタビュー 「昼食休憩あたりから 消極的な手が続いて、 仕掛けていく機会を 逸してしまった」 |
60手 | 渡辺九段は先手の歩切れを見て △21飛で先手攻め筋を全て 潰して千日手狙いに作戦変更 | |
73手 | 藤井王位は膠着打開は無理 と見て千日手受け入れ | |
15:44 | 80手 | 80手 千日手成立 残り 藤井50分 渡辺2時間10分 |
振り駒で後手となった渡辺九段は、左美濃調の力戦に誘いました。
膠着気味の局面から、藤井王位に細い攻めを仕掛けさせ、カウンターを狙う作戦だったと思われます。
しかし藤井王位の59手の消極策を見て、藤井王位の攻め筋を全て潰して千日手狙いに作戦変更、その結果千日手となりました。
指し直し局は規定により、
・先後交代
先手:渡辺九段 後手:藤井王位
・残り時間を引き継ぐも、
少なくとも1時間となるように
両者に同じ時間を必要分追加
少ない藤井王位:50分⇒1時間
多い渡辺九段:2時間10分⇒2時間20分
・千日手成立から30分後に開始⇒16時14分開始
渡辺九段としては、先手となったうえに、残り時間が2時間20分 vs 1時間のハンデ戦みたいな指し直し局に進めて、作戦大成功だったのでしょう。
しかし最後に落とし穴がありました。
どんでん返しミステリーみたいな。
2日目夜に入ってスタミナ切れ
7/7(日) | 16:14 | 指し直し局 開始 先手 渡辺九段 2:20 後手 藤井王位 1:00 |
23手 | 渡辺九段は相掛かりから 77桂の乱戦に誘う | |
54手 | 速攻で龍を作った渡辺九段 対する藤井王位は△72角 評価値は渡辺九段の55% | |
55手 | 渡辺九段はスタミナ切れの兆し ▲82龍でなく▲92龍 解説棋士も指摘 渡辺九段は44%に降下 | |
56手 | しかし藤井王位も 残り10分切って秒読み開始 慌てたか△36歩でなく△64歩 解説棋士も指摘 評価値は50%に戻る | |
66手 | 残り9分の藤井王位は △33同銀でなく△33同金 渡辺九段は58%で有利に | |
74手 | 残り6分の藤井王位は △36歩でなく△86歩 渡辺九段は74%で優勢に | |
92手 | 残り3分の藤井王位は △82歩でなく△36桂 渡辺九段は88%で勝勢に | |
118手 | 両者1分将棋の中、 渡辺九段の19手詰め勝ちに | |
119手 | しかしスタミナ切れで詰めが 読めなくなった渡辺九段、 ▲41同龍でなく▲32銀 評価値は渡辺九段の11% 大逆転で藤井王位の勝勢に | |
21:13 | 136手 | 渡辺九段が投了 藤井王位の大逆転勝ち |
指し直し局、渡辺九段の速攻に、残り時間が少ない藤井王位はミスを重ね、渡辺九段は勝勢からあと19手で勝つところまで詰め寄りました。
しかし2日目20時を過ぎてスタミナが切れた渡辺九段(40)には、1分将棋で詰めを読むだけの集中力が残っていなかったようです。
2日続けて、朝9時からずっと集中し続けているのですから、常人を遥かに超えてはいるのですが。
結果、若くてスタミナ十分の藤井王位(21)が大逆転で勝ちました。藤井王位のスタミナをほめるべきでしょうか。
まさに、どんでん返しミステリーのようでした。