藤井聡太 渡辺明【名人戦 第1局】展望

 4/5(水)から名人戦 第1局が行われます。六冠を達成した藤井竜王にとって、七冠および最年少名人に向けての挑戦となります。

対戦成績

 藤井竜王の、渡辺名人との対戦成績は、

・公式戦 通算 16勝3敗
・番勝負 通算 13勝2敗
・タイトル 4期全獲得

 いずれを見ても、藤井竜王の優位は動かしがたいようです。
 渡辺名人にチャンスは無いのでしょうか。

後手角換わり

 渡辺名人の3勝は、いずれも後手角換わりです。無敵と思える藤井竜王の先手角換わりを相手に、3勝もしたことを考えると、渡辺名人もチャンスがあるように思えます。しかも、

 ▲藤井 – 角換わり – △渡辺

の形だけ抜き出すと、渡辺名人の3勝1敗と、良い結果を出しています。

 2月3月の棋王戦5番勝負では、4局とも角換わりでした。渡辺名人は、先手番では角換わりに誘い、後手番では、藤井竜王の角換わりの誘いに追従しました。

 竜王戦・王将戦では、広瀬八段・羽生九段が先手角換わりで藤井竜王に勝っています。両棋士の作戦は、事前のAI研究でしっかりシナリオを作り込み、藤井竜王がシナリオ外しの勝負をかけてきたところで、しっかりとリードを奪い取るというものでした。

 しかし、渡辺名人の棋王戦での戦い方は、違うように思えます。明確なシナリオがある訳ではなく、藤井竜王の出方に合わせて難解局面に誘い込み、藤井竜王が間違えてくれたならリードが掴める、という戦い方のように見えました。
 ただし、ぼんやりと、こういう形なら、藤井竜王が間違えやすいというイメージを、渡辺名人は持っているように感じられました。

 棋王戦では、この方法を4回試み、藤井竜王を悩ませ、うち3回は藤井竜王の終盤力に敗れましたが、1回は成功しました。

 渡辺棋王の残り時間を見ると、第1局は 0:03、他3局は 0:01 です。棋王戦の持ち時間4時間に対して、名人戦は持ち時間9時間となります。終盤で時間の余裕があれば、もう少し変わってくるかもしれません。

第1局は?

 当日の振り駒で、第1局から第6局の先後が決まります。渡辺名人はいずれにしろ、第1局から角換わり指向のように思います。

 竜王を挑戦者に迎えての名人戦、将棋界で最高の舞台です。世紀の一戦となることを期待しています。

名人戦 7番勝負 2023
渡辺明
名人
藤井聡太
竜王
第1局
4/5(水)
4/6(木)

東京都
ホテル
椿山荘東京
第2局
4/27(木)
4/28(金)

静岡市
浮月楼
第3局
5/13()
5/14()

大阪府
高槻城公園
芸術文化劇場
第4局
5/21()
5/22(月)

福岡県
飯塚市
麻生大浦荘
第5局
5/31(水)
6/1(木)

長野県高山村
緑霞山宿
藤井荘
第6局
6/13(火)
14(水)

甲府市
常磐ホテル
第7局
6/27(火)
6/28(水)

山形県
天童市
天童ホテル
先手 後手
達成時期達成年齢
12020/7棋聖渡辺3-1奪取一冠17歳11か月
22020/8王位木村4-0奪取二冠18歳1か月
32021/7棋聖渡辺3-02連覇二冠
42021/8王位豊島4-12連覇二冠
52021/9叡王豊島3-2奪取三冠19歳1か月
62021/11竜王豊島4-0奪取四冠19歳3か月
72022/2王将渡辺4-0奪取五冠19歳6か月
82022/5叡王出口3-02連覇五冠
92022/7棋聖永瀬3-13連覇五冠
102022/9王位豊島4-13連覇五冠
112022/12竜王広瀬4-22連覇五冠
122023/3王将羽生4-22連覇五冠
132023/3棋王渡辺3-1奪取六冠20歳8か月
142023/5叡王菅井六冠?
152023/6名人渡辺奪取?七冠?20歳11か月
162023/7棋聖七冠?
172023/8王位七冠?
182023/10王座永瀬奪取?八冠?21歳2か月